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春がどこかに行ってしまってから数日。
私はいつも通りの日常を過ごしてた。
朝起きて、仕事に行って、夕飯を作って、本を読み就寝。
いつも通り。という割には欠けている部分もあるけれど、まぁ…そのことは出来るだけ考えずにいる。
考えると……寂しくなるのが目に見えてるから。
家に帰って寝るまでの間ずっと1人だということ。
作る料理は毎度1人分だということ。
ぬくもりが……感じられないということ。
ほんと、悔しいけど。春がいないと毎日の日常が寂しくてたまらない。
躊躇わず出てしまった溜め息にハッと我に返る。
(だから考えるなってば……)
自分で自分をツッコミ、首を軽く横に振った。
今は仕事中。集中しろ私。
しゃがんで本の補充をしていた私は次の場所に移動しようと立ち上がる。が、
「わっ、」
「あっ」
まさか近くに人がいるということに気づかず、振り向いた矢先に軽く衝突。
その衝撃によってバラバラと数冊の本が私の腕の中から床へと落下。
「すみません…!」
だから集中しろってば…!
慌ててその本を拾い集めるのだけど、その人も一緒になって拾い始めてくれた。
「ほんとすみません…お怪我は───」
目線をその人にあてる。
そして、
「………えっ。」
息を飲んだ。
(橋本!?)
目の前にいるこの人は、
この間春の家にやってきた人。
春の……マネージャーらしき人、だ。
「どうかしました?」
「へっ!? いや!なんでも…」
「はい、」と渡された数冊の本と共に橋本さんは怪訝な顔を浮かべていた。
たったこの数分間に色んなことが起こりすぎて…なんだか頭が混乱しそう。
春のことを考えて、仕事に集中しろ!と自分に言い聞かせた瞬間に人とぶつかり、そしてその人はまさかの春のマネージャーらしき人。
いや、らしき人、じゃなくて。
絶対にマネージャーなんだよこの橋本さんとかいう人は。