クッションを顔に押し付けたまま、深い溜め息をついた。


モヤモヤとうざったくて気持ち悪い。



……それは今日に限った話じゃないことくらい分かってる。




想いを伝えたら


心は軽くなると思ってた。



でも─────違った。


軽くなんてならなかった。




寧ろ、ズッシリと重たくなって


春のことを考えれば考えるほど
どんよりと黒く染まっていく。


……1人の時なんて尚更に。





壁に貼られたポスターや表紙を飾るその姿。


画面の奥では違う誰かに触れて、
私じゃない誰かと2人っきりになること。


そして─────『遅くなる』という連絡。




" 誰か "と過ごしているのだと


嫌でも気づき、考えてしまう。





(なんなの、もうっ…)





こうやって何かに心を揺さぶられている自分が嫌いだ。



ダメだと分かっているのに抗えない自分が嫌いだ。



春のことを独り占めしたいと思っている自分が────嫌いだ。





「ほんと、疲れる…」





ドッと感じる疲労感。





疲れているのは


紛れもなく



頭と心、だと思う。





目を閉じていれば意識は次第に虚ろになっていった。

身体も瞼も重たくて……もう動けない。


全体重をソファーに預ける。


眠りに落ちてしまう、

その瞬間まで

ずっと考えていたのは春のことだった。