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長い長い仕事を終えて家に帰ると、ロボット掃除機だけが私を出迎えてくれた。



春の姿は─────ない。





「……ただいま」





ロボット掃除機の動く音以外何も無い空間に足を踏み入れ、

荷物を乱雑に床へと放り投げると

ドサッと崩れ落ちるようにソファーの上に倒れた。



その途端に硬い何かが身体にあたり、ピッと音が鳴ってテレビの電源がオンになる。





(なんでこんなところにリモコンが……)





不思議に思うも、それは思うだけで。



テレビから流れる音を聞き流しながら、再びソファーのクッションに顔を押し付けた。



動けない。

動きたくない。

何もしたくない。




(もう、何も考えたくない…)




身体が悲鳴をあげるほど疲れているわけじゃない。


今日は普段と比べて客足は少なく暇だった。



けど………疲労はある。




仕事が終わったあと


春から連絡がきていた。




『出掛けてくるね』

『たぶん遅くなるから、先に寝てていいよ』




と。その連絡は仕事が終わる1時間前に届いていたものだった。




(……こんな遅くから出掛けるなんて、)



そんなの、もう───…