春の指先がシャツのボタンに触れた。


キッチリと上まで閉じきったそれを、春は私に深いキスを与えながら外していく。





「んっ 、っ───…」





片手で。しかも見てない。



春の瞳は私の目を見てる。





(ほんと、器用だな…)





そんなことを考える余裕なんて、あるように見せているだけで、本当は全くない。


心臓の動きはさっきよりもだいぶ速さを増した。




春の指先はボタンを全部外す前に私の肩からシャツをするりと下ろす。



腕にはまだシャツの袖が引っかかっているけど、中に着ていたキャミソールは露わにされた。





「…は、る、…っ」





呼吸が出来ないくらいのキスをするから、言葉が途切れ途切れになってしまう。



後頭部にある手は くしゃり と髪を乱し、


私の舌を逃がさないように絡めとられるようなキスだけは、未だに慣れていない。





深い深い口付けからようやく解放されると、



潤む目で見つめる先は春の顔。





「俺も、好きだよ。」





彼は愛の言葉を囁いて





「狂わしいほどに凛が好きだ」





大いに露わになった素肌へ、赤い花を散らす。







「───だからさ。



もう二度と " 誰か " に触れられないで」










そんな独占欲でさえも



好きだと、思った。