「でも、それだと良くないね」





結んでいた髪をするりと解かれた。


それはもう、手馴れたように。



自由になった髪をさらりと撫でた春。



そしてニッと

口角を上げて妖しく笑ったかと思えば。






「この先は今まで通りにいかないよ」






鼓膜を刺激され、ゾクリと背筋が震えてしまうのも無理はない。




その発言と共に優しいキスを浴びせかけられた。


甘く、優しく、柔らかく。


触れるだけの、

いつもと変わらないキスだった。




ドキドキと高鳴る鼓動はさっきと同じリズムで。



ほら、変わりないじゃん。



─────そう思っていた矢先。






「………っ!」





春の指先が、胸元の服のラインをくすぐるようになぞっていく。



久々のその刺激に

口は「待って」と言葉にしかけた。




が。


私にはもう、この甘い刺激に抗う理由がないということ。



私は既に春の全てを受け入れると誓った。


だから想いを伝えた。





だったら



この手を止める理由も、ない。