考えることも
悩むことも
隠すことも


全部がもう、疲れた。




私は春が好き。
春も私が好き。



だったらそれでいいじゃん。



躊躇う理由なんてない。

怖がる理由だってない。


気にせず、先に進んでしまえばいい。




相手が人気俳優だとか
私が一般人だから、とか。


そんな言い訳を考える暇があるなら、


今はもうこの流れに任せて

春だけを見て


もっと触れてほしい、と。



彼を求める時間にしたい。





ジッと彼を見つめる。


恥ずかしさなんてない。寧ろ、泣き顔を見られてる方が恥ずかしいかもしれない。




手で涙を拭おうとすれば、





「凛」





その手は掴まれて阻止される。





「それ、本当?」

「っ…嘘じゃない…」

「信じてもいい?」

「……………」





コクリと頷く。


疑う理由は分かるけど、
この状況で嘘なんてつくわけないでしょ…




「じゃあ、」と呟いた春は、私にグッと顔を近づけた。






「もう1回言って」


「っ、」






「好きって、言ってみてよ。」



目元に口付けを落とされると


突然触れたそれに一度目を閉じた。



そしてスグ開けると、



ほら、早く。



そう急かすような瞳に追われて







「…好き…。春のことが、好き」






私は彼に従うように再びその言葉を発した。




何度も何度も、言葉にした。



ちゃんと伝わってほしい。
伝わればいい。



そんな想いを込めて何度も言った。









その時の春のとても嬉しそうな顔を



私はこの先忘れないだろう。