(流されてたまるかっ……)





抵抗しようと力を入れるも、





「っ…………」





到底男の力には敵うわけがなく

いとも簡単に押し倒されてしまう。





ほんと、不利だと思う。


こういう時って、いつも女が不利だ。



その力に対応出来るようにこれから筋トレでも始めようかと思った。






だが。


考えている暇は一瞬にして終わりを告げる。





私の上に春が馬乗りしているからだ。




なんでこんな事になったのか全く分からない。



キスを拒絶しただけでしょう?



なのになんで、

その先に進むような事になってんのよ。





「…なに、怒ってんの?」

「怒ってないよ」

「だったらこの体勢はなに…」

「んー、凛をいじめたくなっちゃった、かな?」

「はぁ…?」





全く意味がわからん。


なぜそうなる。





「ヤダって言ってるでしょ」


「だからだよ。

嫌って言われたら余計にしたくなっちゃう」





ヘラりと笑う春はどこか楽しそうで





「嫌がる凛も好き」


「……頭おかしいんじゃないの」





「うん、そうかもね。



─────凛の事になると頭おかしくなる。」
 




ほら。また、だ。




今私だけを見るその目は、テレビに映っていた一ノ瀬櫂の目と全く同じであること。




その顔もその目も、

見せるのは私にだけじゃない。




私じゃない誰かにだって。


そう、桜田紬にだって───…





気づいていた事に再度気付かされると、苛立ちを覚えた。すごくムシャクシャする。





アンタは私のことが好きなんでしょ?




だったら、私以外に……そんな目しないでよ。