「お邪魔します……」





春の部屋にある本を取りに来たが、さっきドアを開けた時と違って今は妙に緊張した。




……中に春はいないのに。




電気をつけて本がある場所を開ける。


何度見てもこの沢山の本には圧倒されてしまう。





(どれにしようかな…)





沢山あるから迷っていれば



玄関付近から音がして





(……帰ってきた?)





恐る恐るとその場所へと向かう。



春の部屋からひょっこりと玄関を眺めると





「…お、おかえり」





そこには春の姿があって、





「ただいま。」





彼はマフラーを外して、微笑む。





(あ、れ…?)





その瞬間、違和感を感じた。



今の笑みは、嘘だと。


テレビで見たものだと。