「……はいはい。」
プイッと顔を背ける。だからこの行動は分かりやすすぎるんだってば…
自然とそう動いてしまうのだから仕方ない。
と。
「安藤さーん、この本も出して欲しいみたいっす」
この場にやってきたのは
ダンボールを1つ抱える慎二くんで。
「ん?知り合いっすか?」
「あっ…や、えっと……」
なんて説明すればいいのか分からなくて、オドオドとしてしまう私。
説明しづらい関係の私と春。
いっそのことハッキリしたいくらいだ。
(同居人……とか?)
それがシンプルで分かりやすいけど、
慎二くんは今
「あっ!もしかして!
例のセフレさんっすか!?」
その事で頭がいっぱいなのだから、同居人なんて言ってしまえば完璧セフレだと思われる。
「セフレ…?」
慎二くんのその言葉に反応したのは春で
「もう!違うって言ってるでしょ!ほら!どっか行って!!」
私は慎二くんの身体を押す。
「あっ、本、出して欲しいみたいっすよ!」
「あとでやるから!!」
本のストックがある場所へと押し込んだ。
はぁ…疲れる………
この疲れは慎二くんのせいでもあるけれど、
一周回って春のせいでもあると思う。
だってここに痕なんてついていなければ
こんな事にはならなかったのだから。