「ずるいよ…ほんと」

泣くなんて何時ぶりだろう。
そして僕と彼女の関係は終わった。


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「本当、今読んでも自分勝手…分かってんじゃん」

あれから数年。
僕は今大学の休みを利用して彼女がいる海外の土地に来ていた。
彼女の居場所は彼女の両親に聞いた。
現在の彼女の様子もついでに。

彼女がまだ日本で入院している時、僕は彼女の両親に会いに行った。
そしてここ1ヶ月彼女と過ごした時間を彼女の両親に話した。

つまり僕は親公認である。
彼女の両親にも「娘をよろしく」と言われたし、僕の両親にもいつか紹介すると伝えてある。

あとは…彼女自身だ。

教えてもらった現在の住所に電車とバスを乗り継いで向かった。
彼女の家の前についてチャイムを押す前にカバンのポケットに手紙が入っているのを確認する。
あの時の返事、彼女の手紙を読んだ後に書いたもの。
深呼吸をしてチャイムを押す。

出迎えてくれたのは彼女の母親。
互いに久し振りと軽く挨拶をして家の中に入る。

「あの子は自分の部屋にいるわ。2階に上がって右側の部屋よ」
「ありがとうございます」

お礼を言って2階に上がる階段に足をかける。

「頑張って」

彼女の母親に背中を押されて階段を上りきった。
彼女の部屋の前に立ちノックを2回。
中から懐かしい彼女の声がした。

「はーい、どうぞ〜」

僕はドアノブを回しドアを開けた。

「久し振りだね」

笑ってそう言うと彼女は驚いた顔をしたまま固まっている。

「え…何で…」
「うーん、話すことはいっぱいあるし聞きたいこともたくさんあるだろうけどまずはこれ」

そう言って彼女に手紙を差し出す。

「君がくれた手紙の返事。書いたから先に読んで」

と言っても彼女の目には涙が浮かんでいた。

「あの時…全部…終わったと…っ」
「うん。でも僕は諦められなかった。君に恋をしたから。君が言ったんだよ?高校の時、一緒にいるところがバレそうになって人気のない校舎裏の窓の影に身を潜めた時」

好きと感じて胸が高鳴ったその瞬間から恋は始まってるって。