貴方と話して貴方の内面を少しでも知って私は貴方のことが以前よりもっと好きになってしまいました。
 断ち切ると決めたのに貴方と話す度気持ちは大きく膨らんでいく。
 諦めることなんてできませんでした。』

なるほど、と納得した。
あれは偶然ではなく当然だったんだ。
出会って当たり前。
そう思った瞬間、心臓辺りがチクリと微かに痛んだ。
でもそれがあったからこそ僕は彼女と知り合って、彼女を知ることが出来て、そして彼女を好きになることが出来た。

『貴方と過ごした日々はとても楽しかったです。
 毎日が充実してキラキラと世界が日常が輝いて見えました。
 すべてが楽しいと嬉しい、喜びに変わりました。
 改めて、ありがとうと言わせてください。

 私は貴方に言わなければならないことがあります。』

僕が知りたかった今の君のこと。
覚悟を決めて便箋をめくった。

『生まれつき私は病を患っていました。
 幼い頃も入退院を繰り返してまともに外で遊んだことはありませんでした。
 高校に入学した時、親と医師と教師とで話し合いサポートもあって学校に通うことができました。
 普通に一般の学生と同じような日常を送れればいいとずっと思っていました。
 貴方に恋に落ちるまでは。

 本当にこんな漫画や小説のような恋の落ち方ってあるんだと思いました。
 ずっとただの夢で憧れで自分とは関わらないものだと決めつけていました。
 それでも分かったんです。
 貴方を学校で見かけたあの瞬間、胸が高鳴り恋に落ちたのだと。
 涙が出ました。諦めていた、ただの憧れだった恋ができてるって。とても嬉しかった。

 ありがとう、本当にありがとう。
 私は貴方に出会えて本当に今でも忘れられなくなるぐらい幸せです。

 それから、もう1つ。
 私は学校を辞めることになりました。
 それはもちろん持病と関係はあるのですが、決してマイナス的なことではありません。
 医療技術が発展し日本ではなく海外で手術を受けられることになりました。
 だから学校を辞めます。

 たったの1ヶ月間だったけれど、その1ヶ月間がまるで一生分に感じるくらい嬉しくて楽しくて幸せでした。本当にたくさんの思い出をありがとう。

 最後に改めて、自分勝手でごめんなさい。
 ずっと貴方の幸せを願って祈っています。』

そして最後に彼女の名前が書かれていた。