「入れ。」

私は襖を開けた。

「·····今日は月が綺麗ですね。」

「そうだな。」

2人で部屋を出て空を見上げた。

お互い顔は見ない。

「どうして労咳なんでしょう。」

私は呟いた。

「·····」

一さんは黙ったまま。

「彼女の隣にいたかったんですがね。」

「悪いが隣は俺の場所だ。」

あぁ、彼女は伝えたのだ。