左右の確認もせずとびだした


ピピーッ


車のクラクションが鳴らされる


明るいライトがどんどん迫ってくる


あ、私…


そう思った時後ろに引っ張られた


ブォン


車は目の前を通り過ぎていった


私はと言うと


「つ…かさ?」


司に抱きしめられていた


雨に体温が奪われる中司の体温が伝わってくる


司がいつもより優しくて、それが嬉しくて


抑えてたものが一気に溢れてきて


「ぅ…うわああ〜」


雨音に負けないぐらいの声量で泣いた


悲しいのと、寂しいのと、不安と…


司の優しさと。


色んな感情がごっちゃ混ぜになって泣いた


たくさんたくさん泣いた


雨の冷たさなんか感じないほどに


何十分か経ってやっと私は落ち着いた


司は私が泣き止むまでそばにいてくれた


そして司のお母さんと3人で一緒に病院にいった


すでにおじいちゃんとおばあちゃんそしてお兄ちゃんとがいた


みんなに囲まれている白い布で包まれた人がいる


「お母さん…?」


変わり果てたお母さんだった


一歩一歩ゆっくり近づく


そして冷たくなった手を握る


「うっ…ぅうう…」


さっきあれほど泣いたのにまだ溢れ出てくる


お母さんがいなくなったんだって現実を突きつけられて



そしてその後もまた泣き続けた