お父さんと離婚して、お兄ちゃんが就職して少したった約一年前


いつもと何も変わらなかった


『羽衣!いつまで寝てるの!おきなさーい!』

『うーん…』


いつもお母さんの声で起きてた


いつものようにギリギリで起きて急いで支度して


『羽衣、今日夜頃から天気が荒れる予報だから洗濯物よろしくね
お母さん今日も遅くなりそうだから頼んだよ』

『はーい。じゃあいってきまーす!』

『いってらっしゃーい』


いつもと何も変わらなかった


その日も学校が終わって日が暮れ始めたころ


ちょうど洗濯物を取り込んでいる時


『あ、降ってきた』


黒い雲からポツポツと降り出してやがてザーッと強くなった


ひどくなる雨の音を聞きながら家事をした。


洗濯物を畳んだり、夕飯を作ったり…


全て一通り終わった10時頃


お母さん、帰ってこない


遅くなるときは必ず連絡を入れてくれてたのにそれもない


どうしたんだろう


外では激しく雷が鳴っている。


不安は募っていくばかりだった


お母さん、お母さん…


バッ


「え…?」


停電が起こった


一気に恐怖が増す


怖い、怖いよ…


震えを止めようと思っても止まらない


早く帰ってきて


ドンドンドン


その時家のドアが叩かれた


…お母さん!


そう思って扉を開けると扉の前には司がいた


司はとても暗い顔をしていた。


嫌な予感がすると胸が騒ぐ


「羽衣、落ち着いて聞け」


低くはっきりとした声で言われた


「今、俺の母さんに電話があって。おばさん…」


その時だけ時間がゆっくり流れた気がした





「事故に、巻き込まれて…今病院で、亡くなったそうだ」




泣くことも忘れていた


お母さんがいなくなった…?


そんなまさか


考えるより先に体が動いた


自分の目で見るまでは信じられない


エレベーターを待ってる暇なんかないから階段を駆け下りた


後ろから司がおってきてるけどそんなの関係ない


早く行かなきゃ…!


エントランスを通ってマンションの前まで来る


あまりの焦り様に私は周りが見えなかった