「あ、そういえば」


さっきまでギャンギャン騒いでいた莉音がふと思い出したようにいう


「杏璃って覚えてる?須藤杏璃。」

「うん!」
「…まあ」
「誰?あー…小さい頃俺たちと遊んでた子ね」


みんな覚えてるみたい


杏璃ちゃんは目がくりくりしててすごく可愛い子


笑顔がすごく可愛くて髪はいつも短かった


「うちの親が杏璃の両親と仲良くてさ。それで聞いた話なんだけど
あの子、小学校上る前にアメリカ行ったじゃん?それがまた日本に帰国するんだって!
それも私達と同じここの高校に通うらしいの!」


「え!?」
「うそ!?」
「ふーん」


興奮気味の私達3人をよそにいつもどおりクールな司


感情がないのかこの人は!


杏璃ちゃん、元気にしてたかな


「早く会いたいね」


私がぼそっと言うと莉音が微笑んで


「うん。そうだね」


といってくれた。


早く会いたいな


絶対かわいいよね


「よーし!アイツに絶対英語かってやる!」

「翔太には無理だろ。赤点ギリギリなのに」

「そーよ翔太には無理よ」

「んな!?いいよな!お前らはほとんど90点台で!」


莉音と司はほぼ毎回十位に入っている


私はと言うと…


50番以内に入ってたらラッキー程度


勉強しなきゃな


「羽衣ー!羽衣だけだよ、俺の気持ちわかってくれるの!」

「羽衣とお前を一緒にすんな」

「羽衣が可愛そう」

「そこまで言う必要ないじゃんか!」


口ではそう言ってるけど顔は嬉しそう


翔太ってMだよね


キーンコーンカーンコーン


「次なんだっけ」

「さあ。家庭科だったような」

「…一緒にサボろ、翔太
司と羽衣はちゃんと出るだろうし」


おふたりさーん


しっかり聞こえてますよー


「莉音、翔太行くぞ」


「ええ
だって家庭科できないもん」

「俺も不器用だから」

「つべこべ言わずに早く行くぞ」


いいわけばっかしている二人を司が無理矢理引きずって連れ帰る。


…もはや見慣れた光景だな


心のなかで苦笑いしながら先を行く三人について行った