「まーでも頑張れよ
お前も応援してるよ」


「おまえ”も”ってことは他に誰かいるのか?」


「そりゃ羽衣だぜ?純粋天使で有名な。
狙ってるやつなんか山ほどいるだろーよ」


ふーん


まあそいつらから羽衣を守ればいいだけだし


「たとえば…
俺らのキャプテン工藤先輩」


え、あの工藤先輩が…羽衣を?


イケメンで成績優秀、何でもできて生徒会長もしているまさに完璧人間の工藤先輩が…?


「おい、翔太。その話詳しく聞かせろ」

「怖い怖い。急に顔つき変わったよ?」

「うるせぇ早く。昼休みが終わるだろーよ」

「はいはい。羽衣大好きじゃん」


大好きでわりーかよ


「あまり詳しくはないけどこの前羽衣について少し聞かれたんだよ。『彼氏はいるのか』とか『どんな人がタイプなのか』とか
本人の口からはっきりしたことは言われてねーけどありゃ絶対に狙ってるね」


言われんでもわかっとるわ!


そこらへんの男と違って工藤先輩がもし敵なら手強いぞ


今まで以上に見張っとかなきゃ


「そーいや俺、弁当莉音のとこに置いてきてるんだった。一緒に戻ろーぜ」


「おう」と返そうとしたがやめた。


だってきっと莉音のとこには羽衣もいるだろう


さっき中庭の方へ向かって行ってたし


口聞いてくれないかもな


「いや、俺はいいわ。一人で食う」

「そんな哀しいこと言うなよ」


無理やり手を引かれ連れて行かれる


嫌だっつってんのに


相変わらず強引なやつだな


半分呆れながら渋々連れて行かれる


「みて!イケメン二人組が歩いてる!」

「あれ篠原司先輩と榊原翔太先輩じゃん!?なんでここに!?」


…何回目だよ


俺たちが通るだけできゃあきゃあ言われるのほんとに疲れるんですけど


と思いつつもいつもの王子スマイルを浮かべて素通りする