ドンドンドン


マンションの扉が強く叩かれる


「羽衣ー?羽衣いるー?」


少し高めの声が響く。


「り、莉音〜!ちょっとまって!」


バタバタと部屋を駆け回る。


教科書、いれた!


お弁当、持った!


制服、大丈夫!


よし、行こう!


「行ってきまーす」


…っていっても家には誰もいないんだけど


「もー羽衣遅い!毎朝のことだけど遅刻するでしょーが」


やれやれと頭を抱える莉音マミー


莉音、お母さんみたいだから最近心のなかでそー呼んでいる。


「あ、今羽衣莉音マミーって思ったでしょ?」


ニヤニヤしながら話しかけてくるこの男は榊原翔太。


「ま、マミー!?羽衣そー思ったの!?」


「うっ…」


翔太め…いらん事言いやがって


キッと睨むと視線をそらされた。


「何も言わないってことはそーゆーことなのね!?」


ズンッと顔を近づけてくる


な、なにか答えないと


「莉音朝からうるさい」


「ちょっと!うるさいって何よ、司!」


迷惑そうに莉音を見るのは篠原司。


「思ったことを言ったまでなんですが」


「はあ!?あんたちょ―っと人気だからって調子乗るんじゃないよ!あたしはあんたがイケメンだなんて絶対認めないからね!


だいたいサカマネで新しく入ってきた子もみーんなあんたのことしかしないからこっちはいい迷惑してんのよ!」


「いやそれ俺に言われても。ていうか本当に遅刻するから」