「そう。怖かったでしょう」

大丈夫。オレが、います。

言いながらまた、私を抱き締めてくれた律さんに、すがりつく。

大丈夫。大丈夫。そんな風に震えないで…

言われて初めて、ガタガタと震えている自分に気がついた。

「あなたに会いに来たわけじゃない。たまたまです。たまたま、ね?」

まるで私の震えを止めるように強く、抱き締めてくれる律さん。

そのまま、どれくらいの時間が経ったのか。

「…律さん…」

「はい」

いつものように、あたたかな「はい」は、私にやすらぎをくれる。