「でも、俺に勝手に任せたのは万桜くんだよね?」

「いくらしのでも絶対に渡さねぇ」


俺の口から出るのは、考えるよりも早く反応する心からの想い。


そうだよ。こうすることでしか守れないと思ったから、しのに頼んだ。皮肉を言われても、それは否定できない。全部、自分勝手。


でも、今、すげぇ後悔してる。

しのなんかに任せるんじゃなかった。


……ううん。誰にも任せてはいけなかった。


本当は、俺が傍にいたい。


サリーちゃんを巻き込んでしまったけど、それでも俺が傍で守ってやりたい。

俺を好きになってくれるまで誰にも渡したくない。


「わかってるなら最初から人に託すなよ。大切なら自分で守って」


言われないと気づかないとか……。
しのの言う通り、本当に俺ってバカだ。


この2週間、自分の選択に自信が持てなくて後悔しかなかった。

その後悔は、気持ちを押し殺したところから始まった。


サリーちゃんのことを考えるなら、何よりも自分の気持ちに嘘をついてはいけなかったんだ。


「前も言ったけどさ、坂下は本当に気にしてない。周りにどう思われようが、万桜くんがいればそれでいいんじゃないかな」


しのは俺の気持ちを察して奮い立たせようとしただけ、だとようやく理解する。