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「屋上に行かないこと、サリーに伝えた?」


昼休みになって桐生の席に行くと、開口一番、そんなことを訊かれた。


寒くて教室から出たくないから、しばらく屋上に行くのはやめる──とみんなに伝えたのはついさっきのこと。

サリーちゃんにはまだ伝えていない。


「まだ。後でライン送っとく。……俺、飲み物買って来るわ」


学校に来る前にコンビニで買った昼飯を桐生の席に置いて、教室を出る。


寒くて屋上に行きたくないのは、あながち間違いでもない。

去年も冬の間は、空き教室を探してそこで暇を潰していた。


……ただ、半分は嘘。

寒さだけが理由ではなくて……。



「日南先輩……!」


名前を呼ばれて振り向くと、そこにいたのはサリーちゃんだった。


少し列を作った自販機の前。
俺も1人だけど、サリーちゃんも1人でいる。


いつもなら気にならないことも、しのの言葉を思い返すと違和感だらけ。