サリーちゃんの話でよく出てくる名前は愛良って女の子。ファッション部の友達だって言ってたけど、彼女は隣のクラス。

あと、辻堂の彼女。彼女も隣のクラス。


「んー、岩見と関かな」


名前だけ聞いても誰かわからない。


「あーでも、最近は1人でいることの方が多い」

「……なんで?」


サリーちゃんに向いていた視線を、しのに戻す。



「浮いてるから」



俺の耳に届いたのは、信じ難い言葉だった。


「関わりにくいと思われてるんだよ……万桜くんと仲が良いから」

「はぁ?」


俺は眉根を寄せて、自分でもわかるくらいに怪訝な顔を見せた。

いやマジで、は?──なんだけど。


「1年は、万桜くんをカッコイイとは思っていても、恐怖心が強いから。そんな万桜くんに告白された坂下を異端に見てるっぽい」


淡々と吐き捨てるしのの話を、俺は半分しか理解できない。