「あ…けい、くん…」 「ん?」 「もっと、きもちよくして…?……ン…」 ────あーあ。 タイミング最っ悪。もうやだ。 目の前で繰り広げられるラブシーンに、盛大なため息が可哀想なくらいこぼれ落ちる。 あー。もう本当。勘弁してよ。 はあ、ともうひとつ大きなため息を吐いた私は、甘い世界へと夢中な二人に背を向けて、この場から立ち去ろうと──── ………するはずもなく。