旅行から帰ってから、私たちは今まで通りの生活に戻った。
数日後、私はフラッシュバックを起こし、昔の主人との、離婚の頃の事を思い出していた。
しんどい。辛い。やる気が出ない。
どうしようもない孤独感。
彼にはルーティーンがあった。
仕事が終われば実家に寄ってご飯を食べ、自分の家に帰る。
それが9時頃で、それから私とLINEや電話でやり取りをする。
そんな、習慣がいつの間にか出来ていた。
私は9時になるのを待っていた。
でも、彼からまだLINEは来ない。
私は待つことが出来ず「まだ帰らないの?孤独だよ」
本当は、会いたいって言いたかったけど、言えなかった。
でも、彼は「今から会いに行くわ」と言い、すぐに家まで来てくれた。
彼の手を握りしめ、公園まで歩く。
公園のベンチに座り、私は彼の肩に頭を預けた。
彼は「どうした?大丈夫か?」と聞き、私はフラッシュバックの事を話した。
彼は右手で私の頭を撫で「大丈夫やで」を繰り返した。
私の不安や孤独感が一気に引いていく。
彼の腕にしがみつき、彼の温かさを感じ、私は安心した。
私にとって、彼は魔法使いのようだった。
「大好きだよ。明日も明後日もずっと大好きだよ」
私は、彼に恥ずかしげもなくそう言った。
私は彼の事が大好きなのは、自分でも分かっている。
ただ、信用は出来ていない。
でも、その時はそんな事はどうでもよかった。
抱きしめてくれるだけで、十分だった。
私には、彼が必要だと確信した。
まだ、この先どうなるか分からないけど、当時は、彼がいるだけで、それだけで良かった。