ん?いつものベッドじゃない。

私はゆっくり目を開けた。


真っ暗な部屋。

ここはどこ?

声が出ない。


口の中に何かが入っている。

体が動かない。

手も足も体も、縛られていた。


病院だ。

記憶を辿る。


沢山の薬。

そうだ。私は自殺をはかったんだ。

私は気道確保され、鼻にもチューブが入っていた。
沢山の点滴がうっすらと見えた時、父の声が聞こえた。

「大丈夫か?すぐに先生呼ぶから待っとけよ」

そそくさと出ていく父を目だけで追って私はまた眠りについた。

このまま眠り続けたい。切実にそう思った。


く、苦しい。

喉が苦しい。

再び目覚めた私は、気道確保された管が苦しくて仕方なかった。

声にならない声で私は叫んだ。

隣には父がいた。

私は父に、「苦しい、苦しい」何度も言ったが、それは声にならず、ただただもがいてるだけだった。


しばらくして、父が先生を呼んできた。

「管を抜いてあげてください」

「でも、まだ呼吸が…」

「こんなに苦しんでる。拷問や。早く抜いてあげてください」


父の剣幕に負けたのか、口から管が抜かれていく。
その瞬間、気持ち悪くて吐きそうで、でも、抜けた時には、凄く楽になった。


その後は酸素マスクをし、入院生活が始まる。