「俺が全部なんとかする。解毒剤奪ってすぐ戻ってくるから。おまえはここで待ってろ」


彼は自分のポケットの中に手を入れるとあるものを出して、それを私の右手首に縛った。



「行ってくる」


私の頭を撫でると横にもダンボールを置いて、彼は走っていく。


ドアノブに手をかけて、部屋の外へ。




閉まったドア。
薄暗い部屋に私は1人に。






数秒後、部屋の外から聞こえてくる乾いた音。
怒声も聞こえてきて心が凍りつく。



……状況は最悪。
もう5分たったから、これからたくさんの犬飼組の組員が暁に襲いかかっていく。


こんな状況になれば1人でここから出るのも難しいのに、2人でなんてもっと難しい。




やっぱり私を置いていって逃げてほしい気持ちと、私を諦めないでほしい気持ちが混ざりあって頭の中はぐちゃぐちゃ。


心の中は不安と恐怖が支配する。