……あーあ。

こんなことになるなら勉強なんかせずに暁との時間だけを優先しておけばよかった。


もっとたくさんキスして、肌を重ねて、悔いが残らないようにしておけばよかった。





……やだなぁ。


こんなところで死にたくない。
暁のそばにずっとずっといたかった。


……死にたくない。
死にたくない。


1人ぼっちは寂しい。
怖いよ……。






音を立ててとまったエレベーター。
ゆっくり開いていく扉。



「オンナだけかよ」
「一条暁は逃げたか」


聞こえてきたのは男性の声。
歪んだ視界に映ったのは、黒服姿の2人。



2人は犬飼組の組員だろう。




……5分たった?


暁……無事に外に出られたかな。
……大丈夫かな。