きっと、おんぶしてくれるってこと。
暁はあちこちケガしてボロボロなのに……。
「……暁、」
私はそっと声を出す。
「手ぇ出せ」
彼は私の両手をつかむと自分の首に手をまわさせて、背中に私を乗せようとする。
彼の背中とピタリと密着。
ここまではできた、けど……彼は立ち上がれない。
さすがにこの体ではまだ私の体まで支えられないみたいだ。
「暁……、1人で行って」
ぽつりとつぶやくように声を出す。
私はもう動けない。
動きたくても動けない。
どうすることもできないから、暁だけでも……。
暁だけなら行ける。
なんとか1人で立ってるから、暁だけなら早くここから出られるかもしれない。