「暁……っ」


刺したのは太もも。
彼のズボンに広がっていく赤色。


刺さったナイフをとれば、刃にも赤色がべったり。


ぽたっ、とナイフについていた血が垂れた。




なに、して……。
自分で自分を刺すなんて……。



彼は自分の手をぎゅっと握る。
握って、開いて……。

動くのをちゃんと確認してるかのようだった。




……そうか。
無理やりにでも感覚を取り戻そうとしてるのか……。



暁はぐっと足に力を入れて、少しぐらつきながらも立ち上がる。


さっきよりはぜんぜん動けるようになった……。





「美鈴、乗れるか」


彼は床に落ちた拳銃を自分のジャケットの内側にしまって、爆竹とライターを鞄の中にしまうとその鞄を自分の肩にかけて。

私に背を向けてしゃがみこむ。