持ってきた鞄のチャックを開けて、中のものを出す。
手にとったのは拳銃、それと爆竹とライターの3点。
エレベーターで下までいって、扉が開いた時にはもう5分たっている可能性も充分にある。
エントランスにはたくさんの組員がいた。
囲まれてしまえば終わりだから、武器の用意はしておかないと……。
……早く。
お願いだから早く下について。
エレベーターが下がるのを感じながら強く祈っていると。
──ガシャン
私の手から持っていたものが離れて、音を立てて床へと落ちた。
拾わなきゃ、
そう思っても手が動かない。
……さっきまで動いていた体が動かせない。
待って。
早いよ。
まだダメだよ。
まだ、下についてないじゃん。
もう少しくらい待ってよ。
もう少し頑張って……。
壁に背中をつけていたけど、力が抜けたせいで滑っていき……暁がいないほうへと体が倒れそうになる。