「吐け……!」
頭をおさえていれば、暁は私の口に長い指を2本突っ込んだ。
「っ!!」
奥のほうがぐっと押される。
だけど、おえっとなるだけでなにも出ない。
私は暁の手をつかんだ。
やめて。
目で訴えるけどやめてくれない。
下を向かされて背中を叩かれる。
けど、やっぱりなにも出てこない。
ただ苦しいだけ。
……いいよ、暁。
こんなことしなくていいから、今は早く行かなくちゃ……。
両手で彼の手をつかみ、彼の指を力ずくで口の中から出す。
「……今こんなことしてる暇ないから!」
どれくらい時間がたったかわからない。
とにかく早く行かなくちゃ。
「美鈴!」
彼はまた私の口の中に指を突っ込もうとするけど、私はそれをとめて彼の腕を肩にまわす。