暁が言いたいことは簡単に予想できる。


『先に行け』とか『俺はあとから行く』
って言おうとしていたんだろう。



「私、暁を助けるためにここに来たの。ぜったい暁を置いていかない」


もう一度彼の右腕を自分の肩にまわすけど、またしても振り払われた。



「暁……!」
「美鈴1人ならすぐ出られるから、おまえは先に行け。俺はあとから行くから」



やっぱり、予想が当たった。


暁はいつも私の心配ばっかり。
もう少し自分のことを心配してほしいもんだ。



「……あとから来ない気でしょ。暁、まともに立てないじゃん」
「気合いでなんとかする」


「私は暁を置いていかないよ。だからそんなこと言っても無駄。時間もったいないから早く行こう」
「美鈴──」


「つべこべ言わずに早く来て!!」



話している間にも過ぎていく時間。
今は1秒でも大切にしたいところ。


大きな声で暁を黙らせて、すぐに走っていく。


先に部屋の扉を開けて、また彼のところへ。
そして彼の腕を自分の肩にまわして、立ち上がった。