暁は手足を鎖で拘束されているから思うように動けず……。
また腕をつかまれて、今度こそ注射器が刺さった。



中の液体が、彼の体内へ。



「あなたも早く猛毒飲んで。それで……その解毒剤はあなたが飲むか、ダーリンに飲ませるか、どっちか決めて」


私に向けられた視線。
彼女は続けて口を開く。



「日南美鈴、あなたはダーリン……一条暁が本当に好きなら自分の命より優先できるはずでしょ?思いの強さの証明、今ここでしてよ」



“本当に好きなら”
強調されてまっすぐに目を見られる。



……これが思いの証明。
……なにかあるとは思ったけど、やっぱり。



「この毒、本当にすごいの。摂取して5分で体が痺れてきて、20分後には体が動かなくなる。30分後にはもう……心臓がとまって死んじゃうらしいんだ。
あなたはどうするの?自分の命が大事なら、もうなにも飲まないで1人で帰っていいよ」


女の子は1歩前に出て私に近づく。