「ダーリンに打って」
そう指示を出せば、黒服姿の1人の男性は注射器を持って暁のところへと行く。
ちらりと見えた注射器、その中には……紫色の液体。
猛毒、と言われて私が渡された液体と同じ色。
暁に近づいた男性は反対の手にナイフを持つと、彼の右腕をつかみ。
ビリッと彼の黒服を切って穴を開けた。
見えた暁の肌。
そこを目がけて注射器が刺さる──その直前で。
彼はごろんと反転して抵抗。
前に数歩動く足。
私は暁のところに行こうとしたけど、また目の前の男性に制された。
「麻酔2回も打ったのにまだ動けるの?ダーリンはやっぱりすごいなぁ」
ふふっと笑って楽しそうに女の子は暁に視線を落とす。
……暁に麻酔を2回も打ったなんて。