「あぁー。そうだねっ。そっか…。
リュウ…何か飲みたい?ビール切らしてたから買ってくるよ。」

「いいよっ。別に無くてもっ。(笑)」

「買ってくる…すぐそこのコンビニだから。」

私はリュウと入れ違いに玄関でスニーカーを引っ掛ける。

ざわつく心の中を見透かされる前に…この場を離れたくて、スニーカーを引きずりながら扉を開けた。

「なら…俺も一緒に行こうか?」

「いいっ!!いいから…先にシャワーして待ってて。」

慌てて玄関扉を閉めようとした私は、ハッとして…もう一度、扉を開ける。

「リュウ……。」

「ん…?」

リュウはまだ、こちらに身体を向けたまま…
きょとん顔。

「一次通過、おめでとうございます。」

「…(笑)ありがとう。
てか、さぁ…皆んな嬉しいけど、これからなんだよなぁ〜。」

リュウは目尻を下げて少し照れながら苦笑した。

嬉しい反面、苦笑したくなる程のプレッシャーを感じている表情だと思う。

私は、リュウに視線を戻せるきっかけを思い出してホッとした。

獰猛な欲情が…鎮まっていくのがわかる。

少し照れながら…でも困ったような、リュウの屈託のない笑顔に、私の激しい鼓動が鎮まっていくのがわかる。