保健室の扉の前に目を向けると


奏くんが黙ったまま下を向いている


私の視線に気づいたのか立花くんが


「あー。奏は、姫乃の危機にいられなくて、悔しんだよ」


「うるさい。言わなくていい」

こんなツンツンしてる奏くんを見るのは久しぶりだ


「奏くんはいつも私を助けてくれてるよ」


「でも、今日は助けられなかった」

そんな事を言う奏くんに近づく


手を伸ばし、いつも奏くんがしてくれるようになでなでする


身長が足りなくて、背伸びしちゃってるけど


「私のために来てくれたんでしょ?それだけで嬉しいし、私は凄く助けられてるの」

そう笑顔で言うと、やっと私の方を向いてくれた


「次は絶対1番に助けるから」

奏くんは頭に置いた私の手を握って、柔らかい顔をする


「うん。ありがとう」


「なーんか、2人だけの雰囲気出しちゃって、僕たちもいるのに」

七瀬くんが不貞腐れたように言う


「そーだな。姫乃、俺達とも友達になろーぜ」

立花くんの言葉に目をひらく


「私と、と、友達になってくれるの?」

嬉しくて、声が裏返る


くくっと笑って

「まぁ、俺はもう友達だと思ってんだけど?なぁ?」

その言葉に東条さんも七瀬くんも頷く


「俺らは友達ってよりは仲間の方が合うか」


「な、かま?」


「ん。俺たちは仲間だ」


この日私たちは友達。いや、仲間になった