2月の終わり頃
僕はある人の会社に来ていた
「待たせたね。久しぶり奏くん」
僕はお辞儀をする
「お久しぶりです。宗介さん」
そう。妃奈の親父さん
「妃奈の事なんだろ?」
「はい
僕、このままじゃだめだと思ってるんです
妃奈はあの頃、死んでもいいと思っていた僕に希望をくれたんです
だから、僕も…妃奈には笑顔で外を歩いて欲しいと思ってます
妃奈を苦しませてしまうかも知れません
でも、何かあった時は必ず僕が傍にいて守ります
だから協力してくれませんか?」
お願いしますと何度も頭をさげた
「顔をあげてくれ
奏くんには、僕達にはできなかった…
あの子の笑顔を取り戻してくれて、本当に感謝している
そんな君がまた、娘の為に頭を下げてくれている
頭を下げるのは僕達の方だ
本当にありがとう
協力できることがあるなら、何でもしよう
お願いだ。娘を助けてあげてくれ」
そう言って頭を下げる宗介さん
「頭を上げてください
必ず、外を歩けるように、これからは色んな人に頼る事が出来るように、そして…僕が変わったように、妃奈も変えてみせます」
すると、真剣な顔をする宗介さん
「それで、協力して欲しい事とは?」
「はい。妃奈にこの学校に行くように、説得してくれませんか?」
パンフレットを見せる
「これは大変そうだな」
そう言った宗介さんの嬉しそうな顔は
いつまで経っても忘れないだろう
これは、本当の話の始まり
そして
妃奈が知らない
僕と宗介さんの秘密
end