目が覚めると、僕の横で手を握って寝ている女の子


「ひ、な?」


「奏くん」

大きな目がさらに見開かれる


「ごめんね」

座って謝るひな


「…っ、助けてくれてありがとう」

僕も体を起こしたいけど、痛くて起き上がることも出来ない


「動かないで、もう少し遅かったら死んじゃってたって」


ノック音が聞こえて、女の人が入ってくる


「ひな様?」


「佐伯さん、奏くん目が覚めたよ」


「では、お医者様をお呼びしますね」

その声にビクッとして、僕の服を握りしめる


そっか、ひなは人間恐怖症だから、怖いんだ


「僕のためにありがとう」


ひなはまだ笑えないけど、僕には微笑んでるように見えた


医者が来て、3ヶ月は入院になると告げる


医者が部屋から出ると、警察官が2人入ってきて、事情聴取をする


その後は、僕の今後についての話


母さんは捕まり、僕には親戚も居ないため、退院後は施設に行くことが決まった


僕への配慮か、違う町の施設を進められる


今後の事なんか分からない


隣を見ると、僕の服を握り震えてるひな


「僕、近いところがいいです。この町は嫌だけど、この近く、ひなと離れたくない」


「そうか、探しておくよ。何かあった時は僕たちを頼ってね。お大事に」


それだけ言うと、警察は帰って行った