眠ったひなをベッドへと寝かせ、布団をかける


「本当に、懐かしいな」

右腕に巻かれた包帯を見つめる


この傷は消えることはない


僕が物心ついた頃には、父さんは居なかった


母さんもほとんど家には居なく、給食費も払えない貧乏な家


だから、僕は学校にも通えない


毎日、たまに帰ってくる母さんが1000円札を置いていくのを待つ日々


大体は週に1回、運が良ければ2回


ご飯を食べられない日もあった


そんなある日僕は押し入れに入れてある父さんのものが入ったダンボールを見つけた


その中でノートパソコンを見つけた


友達もいない、母さんとも話さない僕にとって、パソコンと言う存在は唯一の楽しみで大きな存在だった


僕はパソコンを触れるようになるために、母さんに隠れて家にある本や辞書で勉強をした


パソコンにも慣れて、ハッキングを覚えていた頃、色んな悩みを持った人が集まる掲示板を見つけた


僕には友達がいない。本当は誰かと話したい、遊びたい


そんな気持ちで掲示板に一言


(学校にも行けない僕の、話し相手になってくれる人はいませんか?)


そう書き込んだ


何時間たっても誰も返事をくれない、僕と話したい人なんてやっぱり居ないんだ


孤独を感じた


時間が経つにつれ、画面を見るのが嫌になり、パソコンを閉じる