…………ん?

あまりにもサラッと告げられて、つい聞き逃しそうになってしまったけど。

伊月くんは、最初から私に優しかった。
その理由は、……私だから?

え?


「あ、チャイム鳴ったな。戻るか」

「う、うん……」


伊月くんに言われて、初めて知る。
チャイムなんて、聞こえなかった。

自分の思考が、頭の中を支配してしまって。

イヤホンのコードを、プレーヤーにくるくると巻いて、なんでもない様な表情をしている顔を、見上げる。