本当に焦った……。


「ううん、ナデシコの歌はどれも好きだから、嬉しいよ」

「いや、でも、新曲がないから同じ曲リピートしてるだけだし。他の歌い手とか、アーティストの歌も、プレーヤーには入れてるからさ。遠慮しないで、言ってくれていいから」


そんな自虐的なことを口にする伊月くんは、情けないような、悲しいような、複雑な表情をしている。


「そんなことないよ。私、本当にナデシコの大ファンなの。家で、自分の部屋でひとりで聴くのも好きだけど、こうやって伊月くんと一緒に聴くのも、大好き」


自分で思っていたよりも、強めに主張してしまい、それに驚いたのか、伊月くんは目を見開いて私を見ている。