朝に、もし私が伊月くんのそばに行けたとしても、話なんて出来ていたかは分からない。

昼休みになって、私は、伊月くんがいるはずの屋上の扉の前に立っても、ドアノブすらつかめないでいた。


話をしなくなって、私は毎日こんなことをしている。


昼休みの屋上に行けば、必ずふたりきりで会えると分かっているのに、一歩が踏み出せない。

あの日の言葉が、邪魔をする。


『真桜は延藤と一緒にいるほうが、楽しそうなのに?』


伊月くんに、そんなふうに思われていたことが、ショックで。


『真桜ちゃんのそれって、本当に恋なの?』


延藤くんの一言で、自分の気持ちすら疑ってしまった。