「この歌は、コウが歌わなきゃね~」

「そうそう。コウがこれ歌うの、だーいすき」


そんな持ち上げられ方をしながら、延藤くんは苦笑いでマイクを持つ。

曲の伴奏と同時にモニターに映し出されたのは、半年ほど前に発表されて人気がある、流行りのJポップ。

延藤くん、どんなふうに歌うんだろう。

これは、正直とても気になる。

延藤くんが歌ったら、トイレに立って、そのまま帰っちゃおうかな。


再びストローに口を付ける。

無くなりかけのドリンクと空気がストローの中でぶつかって、ズズッと音を立てる。