「ねぇ、コウ~! こっちで歌ってよ!」


そうやって呼ぶのは、先ほど私を「邪魔」だと言っていた女子。

延藤くんと私が一緒にいるのが、気に入らないのだろう。


「行って、延藤くん。私、少し経ったら帰ろうかと思ってたの」

「あー……、うん……」


何度かこちらをチラッと気にしながら、延藤くんはマイクを持っている集団のところに向かう。


私がここに混ざることになったことを気にするよりも、伊月くんのことで脅して彼女にしたことのほうを、気にしてほしい。

……とか、思ってみたり。