ツンッとした態度で突き放し、延藤くんはさっさとみんなのあとをついて、カラオケ店へ入っていった。

あまり、聞いちゃいけないことだったかな。

カラオケを好きじゃないと言いながらも、延藤くんなら、みんなの前ではそんな素振りを見せないようにするんだろうけど。


私以外のメンバーが、全員店に入る。


……ダメかな。
このまま帰っちゃ。

足のつま先が、道路側に向きかけるけど、


「真桜ちゃん、なにやってんの。行くよ」


再び開いた扉から、面倒そうに延藤くんが顔を覗かせた。


……逃亡、失敗。

私は諦めて、ため息をつきながら、店内へ足を踏み入れた。