「成美ちゃん、何も聞かないの?」

「だって、言えないんでしょ? それなら、もう何も聞けないよ」

「う、うん、そうだよね……」

「何か理由があるなら、仕方ないよ。愚痴が言いたくなったら、その時は聞くからさ」

「成美ちゃん……」


成美ちゃんは、もう一度ため息をついて、私の手を握り返した。


「真桜の性格で、伊月くんと延藤で二股かけたくなったとか、そんなことは絶対にないんだろうし」

「な、ないよ! それは」

「でしょ? だから、言いたくなったら、その時は聞かせて。あたしは、ちゃんと味方だから」