「……どうした? 真桜。好きでそんなことになったんじゃないんでしょ?」


手を優しく握って、成美ちゃんが瞳を覗き込んでくる。

だけど、言えない。

伊月くんのことは、大好きな親友にさえも。


「ごめんなさい、言えないの……。ごめんね……」

「あたしにも言えないの?」

「……うん。誰かに話したら……、傷つく人がいるから」


至近距離で「はぁ……」とため息が聞こえて、握られた手に緊張が走る。


昨日まで普通だったクラスメイトも、仲良くしていた友達にも、距離を置かれた。

成美ちゃんも……そうなるかもしれない。