「ごめんね、成美ちゃん、驚かせちゃって……」

「ぷはっ、驚くとかいうレベルじゃなかったんだけど!? 真桜だって、延藤のこと苦手っぽかったじゃん」


私の手から、息継ぎをするように逃れた成美ちゃんが、心配そうな表情で詰め寄ってくる。


「付き合ってるって、本当? 延藤が勝手に適当な嘘をばらまいてるなら、一発殴りに行こうよ」


そこそこ物騒なことを提案してくれた成美ちゃんに、そっと小さく首を振る。


「ううん、嘘じゃないの。……本当に、昨日から延藤くんと付き合ってる……」


自分の本意ではないことを口にするだけで、目に涙がにじんでしまう。