昨日過ぎてしまった、先輩のお誕生日だって
当日に祝いたかったけれど、なぜか頑なに断られて、先輩のお誕生日は、完璧に無かったことになってしまった
なんでですか?
そう聞いても、答えてくれない
私の機嫌を取るように、頬にキスを落として頭を撫でておしまい
その話はそこでおしまいになっちゃう
……それで満足しちゃう私も悪いけど
でも、でも
冬休みが重なるクリスマスくらいわって、思ってたんだけどなぁ
悲しくて、悲しくて
先輩の隣を歩くのがしんどくなってきて
顔を伏せて歩いていたのに
「羽華?」
普通に、はぐらかして
クリスマスを一緒に過ごしてくれない理由は話してくれないくせに
そんな不安そうな声で私の名前を呼んで
「なに?具合悪い?」
フワリと視界に入ってきた湊先輩は、私のおでこに大きな手を当てると、鼻がくっつく距離で話してくる
大きな、形の整った黒い瞳を揺らして見つめてくるから
「!!」
「してやったりです」
少し背伸びして、先輩のおでこにそっと唇で触れた
先輩に微笑めば、なぜか大きな手が私の顔に覆い被さった
「むごっ!?せ、んぱ、苦しっ」
「ほんと、ムカつく」
先輩の手をよかそうと触れれば、そのまま絡まる手
嬉しくて、先輩を見上げれば、横目で私を見ていたらしい先輩と目があった
「………帰ろ」
「!!、はいっ」
少し拗ねたような、照れてるような
そんな表情が愛しくて
でも、どこか
胸に不安を抱えていた