「先輩、明日は終業式ですね!」
「そうだね」
「はい!つまり……?」
「羽華にしばらく会わなくてすむってこと?」
「ちょっとおおおおっ!」
この人は本気で言ってるのでしょうか!?
繋いだ手をブンブンと振りながら先輩を見上げれば、口元に手を当てて笑っていた
「騒がしいね」
「先輩が冷めてるだけですよ!あ、ちょっと!」
突然、パッと離されてしまった手
一瞬で冷えてしまった手をなんとなく立ち止まって見つめていたら、スタスタとあっという間に遠くの方まで歩いて行ってしまった先輩
小走りで追い付く
「…なんで手、離したんですか」
「だって、羽華に合わせてたら一生家に着かない」
そう言いながら、ポケットに手を入れて歩き始めた先輩
まるで、もう繋ぎたくないって言われてるみたいで、少し………いや、だいぶ悲しくなる
そんなことにも気づかないであろう先輩の後を追って信号を渡りきる
「先輩、冬休みですよ!予定はお決まりですか?例えば、25日とか」
「……クリスマスって嫌いなんだよね」
「……うわぁ、とても可愛い彼女がいる人の発言とは思えないですね」
「え、可愛い彼女が見当たらないんだけど?」
「泣きますね」
もー、もー!!
鈍い人だな!!
「クリスマスっ!一緒にいてくれませんか?」
「……考える」
「……そうですか」
続かない会話
先輩が何でクリスマスがきらいなのか、とか
なんでそんなに冷たいのか、とか
聞きたいことはいっぱいあったけど、聞けなかった
二人でいるのに、いつもなら会話がなくても楽しいのに
何だか今日はやけに虚しい
……この流れてる失恋ソングが悪いんだ!!
最近流行ってるらしい失恋ソングが、やけに耳に残る