「…人の目の前で過度なスキンシップは控えてくださーい」

「…これぐらい普通、てか、もう大丈夫だからどっか行っていーよ?」


私の頭に先輩の綺麗な頭が乗っかって、先輩が話すたびに私の頭もカクカクと揺れる


その状態のままヒロを見上げれば、イラつきマックスの顔で私の方を見ていた


「俺、ホントにこの人のこと嫌いなんだけど」


「……俺も君のこと嫌い」


お互い眉を潜め、睨み合いが始まったし……

いや、湊先輩は無表情だったけど



私が先輩の腕の中でワタワタしていると、私を見たヒロが大きな溜め息を吐いた



「とにかく、羽華には大勢の彼氏予備軍とシスコンイカれサイコ兄がいるんで、あんまり調子に乗らないでください」

「えぇ、何か今出てきた単語で幸せになれそうにないんですが……」


ヒロをジトッと見つめれば、いつものように眩しい笑顔で笑っていたので、私も自然と笑顔になる


「ここは譲ってやるよ、九条湊。じゃあ、羽華、先に家に戻ってるわ、海にぃ連れて!」

「うん、あ、家の鍵は瑠海にぃが持ってると思う!」

「りょーかいっ、ぐふっ!?」


笑顔で私の頭を撫でようとしたヒロの横腹を足で蹴った湊先輩


同時に私の視界が先輩の手によって遮られた


「…近い、長い、話しすぎ」

「お前、人のこと言えねーだろ!!」

「うるさいなぁ、早く消えてよ」

「あー!!はいはい!!面倒くさいカップルだなっ!!」



むしゃくしゃした様子で頭を掻くと、最後に私に笑い掛け、ドスンドスンと海にぃを迎えに行ってしまった


……ヒロありがとう


ヒロの言おうとしていたことは、バカじゃないから流石に解るよ



ごめんね


いつも側で笑ってくれてありがとう


ヒロのことは大切だし、ヒロが私を思ってくれてる分、私もヒロのことを思ってるよ




でも、私が、一番側に居たいのは……






「それで?どーして、不機嫌なの?」




なぜか、般若の顔をした湊先輩です……